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ジェットとは?/ レイク

[ 439] ジェットエンジン - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

ジェットエンジン(英:jet engine)とは、外部から取り込んだ空気に熱エネルギーを与えることで噴流(ジェット)を生み、その反作用あるいはエネルギーを利用する内燃機関の一種で、主に航空機(固定翼機、回転翼機)やミサイルの推進機関または動力源として使用されるものを指す。
狭義にはターボジェットエンジンとターボファンエンジンのみがジェットエンジンに分類されるが、それ以外の航空用ガスタービンエンジン(ターボプロップエンジン、ターボシャフトエンジン)もしくはジェット流で推力を発生させるロケット以外の航空用エンジン全般(ラムジェットエンジン、パルスジェットエンジン等)もジェットエンジンの範疇に含める場合が多く、本頁ではそれらについても扱う。なお、上記の各種ジェットエンジンの名称は語尾の「エンジン」を除いて単に「ターボジェット」「ターボファン」などとしばしば略される。
広く実用されているジェットエンジン(ターボジェット、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフト)は本質的にガスタービンエンジンであり、その仕組や熱機関としてのサイクルもそれに準じている。すなわち作業流体・酸化剤として外部から取り込んだ空気を圧縮機で加圧し、燃料(主にケロシン)と混合してブレイトンサイクルの下に連続的に燃焼させ、その燃焼ガスによるジェットの反動そのものを推力として利用したり、羽根車(タービン)を用いて軸出力に変換したりする。そしてそのエネルギーの一部はタービンで回収され、圧縮機を回転させるための動力となる。ガスタービンエンジンはレシプロエンジンのように直線運動(ピストン運動)を回転運動に変換する必要がないので構造的制約は少なく、大型化が可能で単位体積・単位重量当りより大きな推力・出力を発生させることができるため、比較的高速の中・大型機には適したエンジンである。また、ガソリンエンジンで出力を制限するノッキングに悩まされることもない。逆に低出力・低コストでコンパクトにまとめることは難しく、出力が数百馬力で十分な小型機向けレシプロエンジンとは棲み分けがなされる傾向にある。
上記ガスタービン型の航空用エンジンに加え、エアブリージングエンジン(作業流体および酸化剤として空気を吸入・排出する内燃機関の総称でレシプロエンジンも含む)の内、何らかの方法で空気を圧縮して燃料と混合し、燃焼後に高速の排気流を得て推力とする機関(ラムジェット、パルスジェット、モータージェット等)もジェットエンジンとして言及される。このうち圧縮機やタービンを用いず燃焼ガスをそのまま出力として利用するラムジェットとパルスジェットはガスタービンエンジンに対してダクトエンジンに分類されることもある。ただし、これらは現在のところ軍用か実験の域を出ないもの(もしくはホビーユース)が多く、ガスタービン型のジェットエンジンに比べると普及していない。
なお空気燃焼以外でジェット流を生み、その反動を利用する推進装置にはロケット(非エアブリージングエンジン)や水中翼船用のウォータージェットなどもあるが、それらはジェットエンジンとして言及されない場合が多い[1]。また、発電用もしくは船舶や戦車の動力として航空用ガスタービンエンジン(ロールス・ロイス製スペイなど)が転用される事例も少なくないが、それらは普通ジェットエンジンとは呼ばれない(単にガスタービンもしくはターボシャフトと記載される)。
オハインが最初に試作したHeS 1の断面図(軸対称な下部断面は省略されている)。圧縮機、タービン共に遠心式であり、非常に簡潔な構造である。
ライト兄弟が1903年に初めて飛行に成功した時から第二次世界大戦頃まで、飛行機の推進装置の主流はレシプロエンジンとプロペラの組み合わせであった。飛行機の軍事的価値が高まるに従い、より高速で上昇性能も優れた機体が希求されるようになったが、レシプロエンジンの構造的制約からくる出力の頭打ちとプロペラ推進の空力的な限界により、機体の性能向上にも陰りが見え始めていた。そのような潮流の中で新しい航空機用推進機関が検討されるようになり、1930年代にはイギリスやナチス・ドイツを中心として本格的な研究・開発が始められた。
この時期に今日ロケットやジェットエンジンとして知られる噴流推進機関の基本形が考案されることとなり、ガスタービン型のジェットエンジン(ターボジェットエンジン)開発も同時に始まっている。圧縮機とタービンを備えたガスタービンの概念そのものは1791年にイギリスのジョン・バーバー(John Barber)によって既に提出されていたが、それから100年以上経った1903年になってノルウェーの技術者エギディアス・エリング(Agidius Elling)が初めて実動させることに成功した。主な困難はタービン出力から圧縮機を回転させる事にあった。また、以後のガスタービン実用化に際しては耐熱合金の開発や、熱膨張によるタービンブレードの亀裂を克服する必要があった。
ガスタービン型ジェットエンジン研究の初期にはタービン出力のみで圧縮機を回転させることが難しかったため、折衷案としてレシプロエンジンによる圧縮機駆動を行うモータージェットも考案された。この形式を採用した代表的な機体は1940年に初飛行したイタリアのカプロニ・カンピーニ N.1である。当時はファシスト党のプロパガンダの影響もあってプロペラの無い先進的な飛行機として注目されたが、性能は通常のレシプロ機に及ばず、ジェット流により得られる推力も微々たるものであった。なお、カプロニ・カンピーニに先立ってルーマニアのアンリ・コアンダが製作したコアンダ=1910というモータージェット機が存在し、第二次世界大戦中には日本や旧ソ連でいくつかのモータージェット機開発が見られたが、結果的に後の技術史へ大きな影響を与えることはなかった。
現代につながるジェットエンジンは、イギリス空軍の技術士官フランク・ホイットルとドイツの技術者ハンス・フォン・オハインがそれぞれ独立に考え出したターボジェットエンジンである。ホイットルは1920年代からジェットエンジンの研究を始め、1937年4月にパワージェットと呼ばれるターボジェットを完成させた。ホイットルのチームがジェットエンジンの実験を最初に行なった時、燃料の供給を止めた後に燃料が逆流して溢れ出し、それが燃え尽きるまでエンジンが止まらずパニックになりそうになったというエピソードが残っている。一方、オハインは当時の航空機業界の大物だったエルンスト・ハインケルに招聘され、ハインケルで1936年からジェット推進機関の研究を始めた。そうしてオハインが水素燃料式のHeS 1を経て完成させたHeS 3はHe178に搭載され、同機は1939年8月に世界初のターボジェットエンジンによる飛行を成し遂げた。またホイットルが開発に参加したターボジェット機グロスター E.28/39はHe178に約2年遅れて1941年5月に本格的な飛行を行っている。
こうして第二次世界大戦後半にはドイツ、イギリス、アメリカでジェットエンジンを搭載した航空機が次々に開発された。ドイツではハインケル以外の航空機メーカーでもターボジェットエンジンが完成し、ユンカースやBMWは軸流式圧縮機を備えたターボジェットを製造した(なおHe178やE.28/39は信頼性は高いが圧縮率の低い遠心式圧縮機を採用していた)。製造されたエンジンはジェット軍用機Me262やAr234等に搭載され大戦末期に実際に運用されている。また、パルスジェット推進のV1飛行爆弾が実戦投入され、ラムジェットを用いた奇抜な兵器(トリープフリューゲルやアレキサンダー・リピッシュが設計したP.13aなど)もいくつか計画された。アメリカ、イギリスでは遠心式圧縮機を備えたジェットエンジンが実用化され、グロスター ミーティアをはじめとしたジェット戦闘機開発が進んだ。戦後、ドイツで製造・計画されたジェット推進の軍用機はアメリカや旧ソ連で徹底的に研究され、各国が独自に進めてきた技術研究と相まってジェットエンジンを爆発的に普及させた。戦時中の日本でもドイツのBMW 003を参考に軸流圧縮式ターボジェットのネ-20が完成し、試作ジェット攻撃機橘花の飛行を成功させたが実戦には間に合わなかった。
現在では旅客機・輸送機といった小型機以外の民間機、戦闘機・爆撃機といった軍用機、さらにヘリコプターのほとんどがターボジェットから派生したガスタービン型のジェットエンジンを使用している。なお純粋なターボジェットは燃費が悪いため現在ではほとんど使用されておらず、ターボファンに航空用エンジンの主役の座を譲っている。
ガスタービン動作の概念図とブレイトンサイクルのサイクル線図。線図の左は縦軸・圧力P、横軸・体積Vとしたもので、右は縦軸・温度T、横軸・エントロピーSとしたもの。qinとqoutはそれぞれ吸収した熱量と放出した熱量を示す。
ガスタービン型のジェットエンジンの場合、熱力学的にはブレイトンサイクルに従う。ブレイトンサイクルは断熱圧縮、吸熱・等圧膨張、断熱膨張、放熱・等圧圧縮の4プロセスからなるが、その特性から燃焼(吸熱)を行う時点の圧力が高いほど取り出せる仕事量は増大する。よってジェットエンジンでは燃焼前に空気を十分に圧縮することが重要となる。なおガスタービン以外のジェットエンジンが従う理論サイクルはブレイトンサイクルではないが、一般的に似たようなサイクルであり、やはり圧縮の方式が成否を分ける。
レシプロエンジンでは爆燃が間欠的に行われるが、ジェットエンジンでは(パルスジェットを除いて)燃焼は連続的に行われる。まず、吸入口から取り込まれた空気は圧縮機(コンプレッサー(Compressor))によって大気圧の数十倍(現行のエンジンでは約30倍)まで圧縮される。圧縮された空気は燃焼室内において燃料と混合・燃焼されて高温・高圧の燃焼ガスとなる。燃焼ガスはエンジンから排出される前にタービンを回転させる。タービンの回転は圧縮機へ伝わり、連続的に空気を吸入・圧縮するための動力になる。燃焼ガスはそのまま推力となるか、タービンもしくはその後段に設置された追加タービン(フリータービンとも)を回転させ軸出力として取り出される。なお、ブレイトンサイクルの吸熱・等圧膨張過程は燃焼室内での燃焼に対応し、断熱膨張過程はタービンおよび排気口におけるガスの膨張に対応している。
ジェット推進もプロペラ推進と同様に空気の運動量を変化させ力積を得ることで機体を前進させる。ジェットエンジンあるいはプロペラ回転面を仮想的な円盤と仮定した、単純化したモデルを考えてみる。この円盤を通過する流体によって得られる推力 T は、単位時間当たりの運動量変化(力積)に等しいので、単位時間に円盤が吸いこんだ空気の質量(質量流量)を , 円盤への流入空気速度(≒飛行速度)を V, 円盤から十分離れた下流における気体の排出速度を とすると、次のように書ける[2]。
プロペラ推進では主に質量流量 を大きくすることで推力を発生させる。すなわちプロペラを大型化したりブレード数を増やしたりして推力 T の増強を図る。しかし、プロペラブレードと機速の合成速度が音速を超えると衝撃波が発生することで効率が著しく落ちるため、通常のプロペラを装備した機体の速度は 700-800 km/h が上限となる。一方、上式で気流速度差 を大きくする(排気流を高速にする)ことでも T を増すことが可能であり、これに基づいて考案されたのがジェット推進である。ジェット推進でも回転物体(圧縮機やタービン)は存在するが、ダクトやブレードの形状を工夫することで衝撃波が抑えられるのでプロペラ推進の場合に発生する悪影響を防ぐことができ、実際にその発想がブレークスルーとなった。ただし、ジェット推進では気体に与えられえる運動エネルギーの割合が大きくなり、パワーロスは一般的に大きくなる。なおプロペラ推進ではプロペラ効率または推進効率[3]というパラメータを用意し設計の指針とする(特に出力が限られたレシプロ機では重要視された)が、ジェット推進で同様の効率を計算するとプロペラ推進の場合より低くなりがちである。このため純粋なターボジェットは燃費が悪いので、ターボプロップやターボファンではプロペラやファンを併用することで効率の改善を図っている。
なお、機速Vが増加すると次第に が小さくなっていくが、その一方で流入する空気量が増加するので互いの効果が相殺されて推力 T はほぼ一定に保たれる(この点は機速によらずほぼ一定出力Pを仮定するレシプロエンジンと異なる)。また が小さくなるほど推進効率が増加するので、一般的にジェット機(特にターボジェット)は高速時のほうが燃費が良い。
ガスタービン型のジェットエンジンは主に圧縮機、燃焼室、タービンおよびそれらの周りの吸・排気口やナセルから構成される。さらにそれらに加えて搭載機の用途に応じた特殊な装置・機構が付随することもある。以下ではターボジェットもしくはターボファンを念頭に置き、その構成要素を個別に紹介する。
コンコルドの可変吸気口の動作概要。離陸時や亜音速時(上)は多くの空気を取り入れつつダイバージェントダクトを構成し、超音速時(中)にはコンバージェント・ダイバージェントダクトを構成する。
ジェットエンジンに流入する空気はまず吸気口(エアインテーク(air intake)、ダクト(duct)とも)を通過する。吸気口はベンチュリ状の構造を利用して流入空気の動圧を静圧に変換し、流速を減じる役割を担う(ベルヌーイの定理の応用)。流速をマッハ0.5程度まで下げて圧縮機の回転による衝撃波の発生を防ぎ、同時に空気を圧縮する効果を得る。ただし、流速が亜音速(音速以下)か超音速かでベンチュリの果たす役割が逆転するため、亜音速機と超音速機では使用する吸気口が異なる。なお、吸気口はエンジンモジュールに組み込むのではなく、機体やナセルの一部として設計・導入されるのが一般的である。
亜音速機ではエンジン内部に向かってダクト径が広がっていくダイバージェントダクトが用いられる。亜音速流体にベルヌーイの定理を適用すると、ダクト径の広がりと共に動圧(流れによる圧力)が低下し、その分静圧(流れの無い時の圧力)が増加するためである。
超音速機にはダクトの中間部分がくびれたコンバージェント・ダイバージェントダクトが用いられる。これは超音速流ではダクト径の変化と動圧・静圧変化が亜音速の場合の逆になるからで、コンバージェント部(ダクトがすぼまっていく部分)で流速を音速程度まで減じ、その後のダイバージェント部で亜音速流体の減速・圧縮効果を得ている。ただし機速が音速に達するまではダイバージェントダクトを用いる必要があるため、通常の超音速機は吸気口の形状を適宜変化させるための可変吸気口を備えている。
遠心圧縮式ターボジェットの概略図。流入空気はインペラーにより円周方向へ偏向され、その後ディフューザーを通過して加圧される。
軸流圧縮式ターボジェットの概略図。流入空気は複数段のローターとステーターの組によりエンジン内部にいくにつれて圧縮されていく。
吸気口を通過した空気は燃焼室へ送り込まれる前に圧縮機により加圧される。初期のジェットエンジンの圧縮率は大気圧の数倍という小さいものであったが、F-15に搭載されているF100では約30倍、ボーイング777に搭載されているGE90では約40倍という高圧を生み出している。ジェットエンジンに使われる圧縮機には遠心圧縮式と軸流圧縮式の2種類がある。通常、圧縮機は複数設けられ、その数は「段数」で数えられる。また、軸流圧縮機の後段に遠心圧縮機が設置されるような場合もある。
流入空気を羽根車(インペラー(impeller))によってエンジン回転軸の遠心方向に90°偏向させ、その遠心力と圧縮機出口に設置されたディフューザーで圧力を高める方式である(インペラーとディフューザーの組を1段と数える)。構造が簡単で1段当りの圧縮率が高く、回転数がある程度変動しても効率が落ちないといった利点があり、小出力ならば軸流圧縮式に比べて軽量化が可能である。このような特徴からオハインやホイットルが製作した初期のターボジェットはこのタイプの圧縮機を使用している。ただし、軸流式と組み合わせなければ段数を増やすことが難しく、圧縮比を大きくするためにインペラーの直径を増すと前面投影面積が大きくなる(機体に搭載した場合空気抵抗が増加する)という欠点を持つ。したがって今日の航空機用大推力エンジンにはほとんど用いられない。しかしながら、中型輸送機用ターボプロップや中・小型ヘリコプター用ターボシャフトなどの比較的低出力のエンジンには、その構造の単純さ故に今なお使われている(その場合、軸流式との組み合わせであることも多い)。また、ホンダジェットに搭載されたターボファンエンジンHF120の高圧圧縮機(最終段の圧縮機)にもチタン合金製の遠心式圧縮機が使用されている。ちなみに航空用レシプロエンジンのスーパーチャージャーもインペラーとディフューザーを備える遠心圧縮式である。
流入空気を回転する動翼(ローター(rotor))と固定されていて流れを整える静翼(ステーター(stator))によって加圧し、空気がエンジン軸方向に進むにつれて加圧されていく方式。ローターは可動ディスクの周囲に細長いブレードを配列した羽根車で、ステーターはローターと同様のブレードをエンジンケースに固定することで構成される。ローターとステーターの組み合わせが交互に何段か連なっており(ローターとステーターの組を1段と数える)、空気はそれらを通過するごとに次第に高圧となっていく。構造は複雑になるが多段化しやすく、よって高圧縮比を得られ、エンジン直径を小さくすることができる。一方、ブレードの製作にはコストがかかり、加工精度如何でブレードによるフラッターを起こしやすいという欠点がある。このフラッターはステーターの角度を調節することである程度まで対応できるが、回転数は限られる。近年の大型ターボジェット、ターボファンのほとんどはこの軸流圧縮式を用いている。
カン型燃焼室を採用した初期のターボジェットであるデハビランド ゴースト。銀色の筒状部分が燃焼室でケーシングやライナおよびノズルの配置が確認できる(左側が吸気口)。
燃料には主にケロシン(ジェット燃料)が使用され、理想的な空燃比は16:1である。実際に送り込まれる空気量は燃料に対して多すぎるため、内部で流れを調節することで理想空燃比に近づけられる。燃料コントロール装置によって高圧に加圧された燃料はノズル(ディフューザー)から噴射されて霧状になり、容易に燃焼する状態にされる。エンジンの始動時はノズル近くに位置する点火プラグの電気火花によって着火される。
燃焼室は入子状の構造をしており、外側のケーシングと内側のライナから成る。ライナには多数の孔が開けられており、その内側に燃料噴射ノズルが設置されている。燃焼室直前の圧縮空気の流速は100m/s〜200m/sであるが、ライナはその流れから火炎を保護し、部分的に10m/s〜20m/s程度に減速された燃焼領域を作り出す。ケーシングとライナの間およびその孔には空気が流れ、燃焼領域に流れる空気量が調節されるとともに高温に晒されるライナが冷却される。燃焼直後のガス温度は2,000度近くになるが、その後燃焼に使用されなかった空気と混合してタービン直前では1,000度前後にまで低下する。
初期のジェットエンジンでは複数の筒状燃焼室(カン型)が輪状に等間隔で配置されていたが、現在では一体の円環状燃焼室(アンニュラ型)が一般的である。カン型は設計が簡単で整備性が良い反面、各燃焼室での燃焼が不均等になりやすいという欠点がある。一方、アンニュラ型は慎重な設計を必要とし整備性は良くないが、燃焼が安定して行われるなどの利点を持つ。
タービン(turbine)は燃焼ガス流の通過・膨張によって回転し、そのエネルギーの一部を回収するための機構である。すなわちタービン部の役目は圧縮機やファンもしくは出力軸を回転させることであり、それらと直結されている[4]。基本的に圧縮機と似たような形状をしており、やはり遠心式と軸流式がある(主流は軸流式)。ただし過酷な温度条件の下で動作させるために様々な工夫を必要とし、エンジンの他の部分に比べて入念な検査と頻繁な交換が行われる。
現在広く用いられているのは軸流式タービンであり、軸流式圧縮機と同様に回転するローターとエンジンケースに固定されて流れ整えるステーターにより構成され、両者の組み合わせが多段階に配置されている(ただし圧縮機より段数は少ない)。多くのジェットエンジンでは圧縮機が低圧部(前段)と高圧部(後段)の2つの部分に分けられており、加えてファンや出力軸を持つ場合もあるが、それぞれを駆動するためにタービン群も分割されている。高圧用圧縮機を駆動するためのタービンは大きな力を得られる燃焼室直後にあり、低圧用圧縮機もしくは出力軸を駆動するためのタービンはより排気口に近い側にある。エンジンシャフトを中空にすることでこれらのタービンは全て同軸で回転している。
タービン部入り口温度が高ければ高いほどエンジン効率は良くなる。そのためにタービンブレードは高温に曝されながら同時に遠心力(クリープ)や振動に耐えうる能力が求められ、その材質や構造には特別な注力が払われている。
まず材質にはニッケル合金やコバルト合金といった耐熱合金が用いられ、近年ではさらなる高温に耐えうるセラミック製や溶融した金属の凝固時に結晶化する方向を揃えた単結晶のブレードも使用されている。
また、タービン部入り口付近(燃焼室側)数段のブレードは高度な冷却機構を備えている。多くの場合はブレード内部に空洞があり、そこへ圧縮機からバイパスされた圧縮空気がローター取り付け部より導入される。バイパス空気はブレード内部の熱を奪った後にブレード末端部から開放される(このような形式をコンべクション型という)。さらにブレードの翼表面や後縁部の細孔からバイパス空気を流出させて断熱層を作るフィルム冷却機能を持つ場合もある。ブレードの穿孔にはレーザーなどを用いた高精度加工法が用いられる。ただしいずれも高度な加工技術を必要とし、消耗品であるブレードに適用するとコスト高となるため、費用対効果面での考慮が求められている。
ブレードの取り付け部には高温で生じる不均一な膨張によって熱応力がかかるため、クリスマスツリーやファーツリーと呼ばれるジグザクに入り組んだ噛み合わせ形状によって、熱応力を逃がす工夫がなされている。運転後にジェットエンジンが冷えるとクリスマスツリー部分の隙間が広がる仕組みになっている。
排気口またはノズル(exhaust nozzle)は排気ガスを整流し、吸気口とは逆に静圧を動圧に変えて気流速度を高める役割を担っている。亜音速機では出口にいくほどノズル径が小さくなるコンバージェントノズルが用いられる。超音速機では、亜音速飛行時にはコンバージェントノズルに、超音速飛行時にはコンバージェント・ダイバージェントノズルになるような可変ノズルが用いられる(いずれも原理は吸気口の場合の逆)。高温の排気に晒されるため、材質的・構造的に高度な設計が要求される。
近年の一部の戦闘機には推力偏向ノズルを備えたものも存在するが、それらはノズル方向を変えることで推力発生方向に自由度を持たせ、従来の機体では不可能であったような機動を実現させている。
一部のターボジェットやターボファンはアフターバーナー[5]と呼ばれる燃料噴射装置をノズル近傍に設け、排気に含まれる空気を再燃焼させることができる。アフターバーナーは主に戦闘機に搭載され、ジェットエンジンに欠ける加速性の改善と戦闘・緊急時の推力の増大を図っている。また超音速巡航(スーパークルーズ)のために使用されることもある。特にターボファンエンジンは排気流の速度が低く抑えられるため、アフターバーナーを追加する事によって高速性を補償する。ただし高温の排気に燃料を噴射するという仕組上、非常に燃費が悪く、騒音や有害ガスの発生といったデメリットも大きい。
ほとんど全ての旅客機用ジェットエンジンと軍用エンジンのいくつかは、着陸滑走距離の短縮化のために逆噴射装置(スラストリバーサ)と呼ばれるブレーキ機構を備える(名称から誤解される事が多いが、エンジン内の圧縮機とタービンが逆回転して吸気口と排気口が入れ替わるわけではない)。これは排気もしくはファンによるバイパス流をエンジン前方に偏向することで後方への推力を発生させ、着陸時の機体を減速させるために用いられる。
ターボジェットや低バイパス比のターボファンではノズルの後ろでハの字型ドアを展開し、高温排気そのものを斜め前方に偏向するものが多い。一方、高バイパス比のターボファンではファンでバイパスした空気流のみを偏向するものもある。このようなものはエンジン側面(ナセル)にリバーサドアが取り付けられており、ドアの動きと連動するシャッターが後部へ向かう空気の流れを遮断・偏向することで、ファンから取り込んだ大量の圧縮空気を斜め前方へ噴射する。このような高バイパス比ターボファンの場合はノズルからの気流を偏向せずとも以上の方法で十分な後方推力を得ることができる。
なお、旅客機が空港でエプロンから離れる際にスラストリバーサによって後進を行うことも不可能ではないが、騒音問題や設備への悪影響、および舞い上がった異物を吸引してしまう危険性が懸念されるため、後進にスラストリバーサーを使用することは日本では禁止されている(アメリカでもエンジンが胴体後方についている旅客機で認められているに過ぎない)。そのため旅客機の後退はトーイング・トラクタという大型自動車と前輪などを金属棒で接続しプッシュバックすることで行われ、タキシングの方向にあわせて機首の方向を変えられる。また、着陸時の使用でもエンジン内への異物混入の原因となるので、積雪などの場合を除き約60ノット(100km/h程度)まで減速したら使用を停止し、その後は車輪ブレーキを用いて減速・停止する。
タービンの回転力により圧縮機を駆動して空気を圧縮し、その燃焼によって得られる排気流のみで推力を得る純粋なジェット推進式エンジン。ガスタービン型のジェットエンジンとしては最も基本的なもので、フランク・ホイットルやハンス・フォン・オハインが製作した初期のジェットエンジンもこのタイプであり、第二次世界大戦前後に研究・開発が飛躍的に進んで一気に普及した。ただし、排気流速がエンジン搭載機の速度より遥かに大きいために効率が悪く、後述するターボファンエンジンが完成するとそれに取って代わられていった。
1939年に初飛行したHe178への搭載に始まり、第二次世界大戦中にはアメリカ、イギリス、ドイツといった工業先進国で未熟ながらも実用化された。初期のものは耐久時間が短く、低推力・高燃費で安全性にも問題を抱えていたが、朝鮮戦争が始まる1950年頃には一応完成の域に達し、1952年にはイギリスで世界初のジェット旅客機コメット1の運用が開始された。その後も改良が続けられアフターバーナーの使用と共に戦闘機や一部旅客機(コンコルド、Tu-144)の超音速飛行を可能足らしめたが、騒音や排煙(初期のジェット旅客機は黒煙を排出していた)、燃費の問題からターボプロップやターボファンが実用化されると順次交代していった。ベトナム戦争ではターボジェット戦闘機F-4やMiG-21が活躍するものの、それ以降は戦闘機といえど低バイパス比のターボファンが一般化し、現在では純粋なターボジェットの需要はほとんどなくなっている。
低バイパス比ターボファンの概略図。戦闘機に搭載されるものは上図のようにバイパス空気流を燃焼部と外周部の間に通し、ノズル部で合流させる。
高バイパス比ターボファンの概略図。旅客機に採用されるのはこのタイプが多いが、実際は上図外側にナセルがあるためバイパス流が解放されるのはもっと後方である。
ターボジェットの吸気口近傍・圧縮機前方にファンを備えるエンジンで、ファンの外周部を通過する一部の流入空気は圧縮機以降に導かれずにエンジン外周部へバイパスされる。このファンはプロペラと類似の役割を担い、一部の空気を低速で排出することで推力を得て効率の悪化を防いでいる(高速の燃焼ガス流と合わさって総排気流速度は機体の巡航速度に近くなる)。ファンにはプロペラのようなピッチを変更する機構はなく、減速機を介さずにタービン回転がそのまま伝達されるためプロペラに比べて回転速度は大きい。ターボジェットに比べて総排気流速度が低く抑えられるため、当初はそれほど高速を必要としない旅客機に利用されていた。しかし、後述するバイパス空気量の小さいターボファンは現在のジェット戦闘機のエンジンとして主流となっている。
ファンのみを通過し圧縮機に吸い込まれない空気量Fを圧縮機に吸い込まれる空気量Cで割った値F / Cをバイパス比(By-Pass Ratio, BPR)と呼ぶ。例えばバイパス比5のエンジンならば、ファンだけを通過する空気量は圧縮機から燃焼室へと流れる空気量の5倍にあたる。この値は地上静止状態で定義される事が多く、実際には飛行マッハ数によって変化する。通常、バイパス比が高いほど燃費が良く、亜音速飛行に適した性能特性を持つ。
一般的に、バイパス比が1前後のものを低バイパス比、4以上のものを高バイパス比と呼ぶ場合が多い。初期にはバイパス比が小さいものしか製造できなかったが、今日ではバイパス比9に迫るエンジンが稼動しており、ボーイング787のような新型旅客機向けにバイパス比10を越えるものの開発も行われている。一方、戦闘機用のものはバイパス比が小さく、その値が1を切るものもある。
ファンをプロペラ状にして極限まで効率の向上を追及したターボファンの一種にプロップファン(アドバンスド・ターボプロップ(Advanced Turbo Prop, ATP)とも)がある。これは圧縮機の外周部(ナセル外側)に薄くて強い後退角を有する、径が小さめのプロペラ(可変ピッチ機構付き)を備えるもので、プロペラ端で発生する衝撃波を抑えつつ高速(マッハ0.8程度)と高効率を両立させようとしたものである。1980年代の石油価格の高騰に触発されて各所で研究開発が行われたが、プロペラの振動など解決すべき技術的課題のためにそのメリットがかすみ、通常のターボファンの性能向上(高バイパス比の実現)とともに開発は放棄されていった。数少ない実用例の一つにウクライナの輸送機An-70がある。
ターボファンの派生型として、現在JAXAで構想されているコア分離型超高バイパス比ターボファンエンジン[6]といわれるものがある。これはファンとガスタービン部分(コアエンジン)を分離し、ガスタービン側で圧縮した空気をファンへバイパスして駆動しようというアイデアである。これにより10を越える高バイパス比が実現し、ファンのコントロールやレイアウトの自由度を増すことで複数のリフトファンおよび推進ファンの設置とそれらのスイッチングを行い、今までにない大型VTOL機を製作することも可能だとされている。
現在のジェット旅客機の多くが高バイパス比ターボファンを採用しているが、低バイパス比ターボファンを搭載した旅客機も近年まで製造され続け、日本にも数十機単位で存在する(MD-81/87など)。超音速飛行を行う戦闘機の場合、バイパス比の低い、より高速に適したものが採用されている。特に著しいのはF-22が装備するF119であり、バイパス比は1よりも小さい。これはアフターバーナーなしでの超音速巡航を可能にするためだが、こうなるとほとんどターボジェットエンジンに近い。
ボーイング747やエアバスA300といった日本でも馴染み深い旅客機に搭載されているプラット・アンド・ホイットニーJT9D
低圧圧縮機の回転を遊星歯車により減速して、大型ファンの回転数を最適化したターボファンエンジン。圧縮機やファンの羽根はその直径が大きくなるに従って、効率的な回転数は小さくなる。従来のギヤーを備えないターボファンエンジンでは、小さな圧縮機の羽根と大きなファンの羽根を同じ回転軸で駆動していたために、必ずしも適していない回転数による効率の低下があったが、ギヤーを備えたギヤードターボファンエンジン(Geared turbo-fan engine, GTF)では、それぞれの回転軸を最適な比率で減速することで、さらに大きなファンにより高バイパス化されても効率が最適化できる。
ターボジェットやターボファンと同じくガスタービンを備えるが、その出力のほぼ全て(約90%)をプロペラの駆動に使うエンジン。タービンで得られる出力の一部は圧縮機の駆動に使われるが、残りは減速機を介してプロペラを回転させる。このプロペラによる推力が全推力の大部分を占める(ジェット排気による推力も10%程度あるとされる)。つまりジェット推進というよりはプロペラ推進用の動力源であり、特徴もそれに準じる。ただしレシプロエンジン駆動のプロペラ機に比べると出力は格段に大きく(軸出力が10,000hpを超えるものもある)、高高度での飛行もレシプロエンジンよりは得意である。
特徴的なターボプロップ機として、旧ソ連が開発したTu-95爆撃機が挙げられる。2重反転プロペラを採用して最高速度は900km/h台に達し、「世界最速のプロペラ機」として知られた。実はここまで高速だとターボファンのほうが効率は良いのだが、開発当時はまだターボファンは実用化されていなかったため、ターボプロップの性能を極限まで引き出す形になった(ちなみにライバルとして知られるアメリカのB-52爆撃機も同様にターボプロップを搭載しようとしていたが断念し、結局ターボジェットが採用された。ターボファンへの換装は後の事である)。
一方、ターボプロップを装備したC-130輸送機は世界中の軍で使用されている(民間型も存在)。これは燃費の良さからだけの選択ではなく、ターボファンよりも排気の温度(EGT)が格段に低いことを活かし、赤外線追尾式の地対空ミサイルから捕捉されにくくすることも意図されている。
ターボシャフトの概略図。圧縮機駆動用タービンの外側に軸出力用のフリータービンを備える。上図ではエンジン後方にシャフトが延ばされているが、ターボプロップと同様に前方へシャフトを出す場合もある。
圧縮機駆動用のタービンと別に、出力用のタービン(フリータービン)を備えるガスタービンエンジン。フリータービンにより取り出された出力はシャフトと減速機を介して駆動力となる。ヘリコプター、船舶、戦車といった乗り物の動力として主に利用されている。
ターボプロップとほぼ同じ構造を持つが、シャフトで駆動するものが航空機用のプロペラ(prop)か否かで便宜的に区別されている。本質的にはごく一般的なガスタービンエンジンであり、特に航空機以外の動力源では単にそう記載されることも多い(その場合もちろんジェットエンジンとは呼ばれない)。排気流は必要とされない場合が多いので、燃焼ガスのエネルギーはほぼ全てタービンによって回収され、排気流による推力はほとんど発生させない。
主にヘリコプターのローターの動力として広く用いられているが、その際排気による推力は基本的には考えていない(一般的に排気口は真後ろを向いておらず、しかも横を向いているものさえある)。ただし軍用ヘリコプターでは、あえて排気の推力を活かして速度を高めたものも存在する。また、軍用ヘリコプターの中には赤外線追尾式ミサイルへの対抗手段として、排気温度抑制の試みを行っているものもある。近年ではティルトローター(V-22など)にも採用され、アメリカ陸軍の戦車M1エイブラムスや海上自衛隊の水中翼船1号型ミサイル艇も駆動力としてターボシャフトを用いている。
スパイク前端の超音速流はエンジン内部にいくにつれて亜音速流となり加圧される。燃焼後は排気ノズルから超音速の排気が行われる。
ガスタービンエンジンではないジェットエンジンの一つで、機械的な圧縮機を使用することなく、吸気口前面に生ずるラム(ram)圧により圧縮された空気に燃料を吹き付けて燃焼させ、推力を得る方式のエンジン。吸気口から突出した前後に可動するスパイクを有しており、そのスパイク先端で発生させた衝撃波面をエンジンナセルに接するように制御する。こうして生じた衝撃波面の後方では亜音速の空気流が生まれ、非常に高い動圧が静圧へと変換される。
マッハ3から5程度の超音速飛行に向く出力特性を持っているが、高速の空気流の衝突を前提としているため、機速が設計速度を下回ると著しく効率が悪化して充分な推力を発生することができない(もちろん静止時は動作しない)。そのために設計速度域へ到達させるための推進系が別途必要となる。この別の推進系としてはロケットやターボジェット(後述)が使用されている。
一方、アメリカでは1950年にYH32 ホーネットというラムジェット駆動のヘリコプターが試作されている。これはローター端にラムジェットを設置して回転させるというもので、ローター回転によるトルクが発生せずテールローターが不要というメリットがあったが、航続距離や隠密性の問題から実用性が低かったため導入には至らなかった。同様のヘリコプターは戦後に萱場製作所でも試作されている。
現在、ラムジェットは各種ミサイルの推進機関として応用されている。ラムジェットが動作するまでの加速用ブースターに固体燃料ロケットを使用しており、固体ロケット統合型ラムジェットエンジンや固体ロケット・ラムジェット統合推進システムなどと表記される。例を挙げると、アメリカのボマーク、イギリスのシーダート、フランスのASMP、旧ソ連では特に多用されており、2K11クルーグ、2K12クブ、P-270モスキート、P-800オーニクス、Kh-31などがある。P-800オーニクスやKh-31ではブースター用の固体燃料ロケットが燃え尽きた後に生じる空洞をラムジェット用の燃焼室として再利用する設計が特徴的である。
ラムジェットエンジンの内部にターボジェットと同等の機構を取り付け、ラムジェットが作動する高速に達するまではターボジェットとして機能する形式のエンジン。もしくはターボジェットの外周部にラムジェットの機能を付加する形式ともいえ、高バイパス比ターボジェット(high-bypass-ratio turbojet)とも呼ばれる。流入空気をターボジェットへ回すか、完全にバイパスしてラムジェットとして機能させるかを飛行速度に応じてバイパスフラップで制御する。
現在のところ、上記のコンセプトに基づいて製作された実用エンジンはSR-71とその原型機(A-12やYF-12)に搭載されたプラット・アンド・ホイットニー J58シリーズ[7]のみである。ラムジェットとして動作する超音速飛行時には、吸気口から流入した空気は圧縮機前に展開されたバイバスフラップによりターボジェット外周部へ通されノズル部に達する。この時アフターバーナーがバイパス空気を燃焼させ、実質的にラムジェットとして動作することになる。なお、ターボ・ラムジェット機としてしばしばMiG-25が挙げられることがあるが、同機は3000km/hの高速飛行時に得られるラム圧を考慮して圧縮機の圧縮比を低く抑えてあるだけで、ラムジェットとしてのエンジン動作は行っていない。
基本的にはラムジェットと同じ発想のエンジンであるが、エンジン内部でも超音速流が保たれる点が通常のラムジェットと異なる。速やかな燃焼を実現するために燃料には主に水素が用いられ、現在のところ動作時間は数十秒が限度である(ただしそれでも大きな加速力を得ることができる)。極超音速での動作を目的としており、単段式宇宙往還機(SSTO)を実現するための要素技術の一つとされる。
近年、日本を含めた主要先進各国でスクラムジェット機の構想や開発が行われているが、2007年現在で確実な成果を収めているのはNASAの開発したX-43である。X-43はスクラムジェットが動作するまでペガサス・ロケットにより加速される仕組みであり、2004年にはマッハ9.8というエアブリージングエンジン搭載機としての最高速度記録を打ち立てている。
空気取り入れ口に設けられたシャッターを高速で開閉することにより、燃焼過程と排気・吸気が交互かつ間欠的に行われる方式のエンジン。空気の圧縮には燃料の着火により生じる衝撃波の一種(爆轟波やデトネーションパルスと呼ばれる)によって発生する高圧を利用する。構造がきわめて単純なために製造コストが安く済むが、シャッターの開閉と燃料噴射・点火のタイミング制御が開発当初は課題となった。間欠吸排気に由来する独特の排気音が特徴である。エンジン全体がU字型をした、シャッター(バルブ)の無いバルブレス・パルスジェットエンジンもある。どちらも振動や騒音が大きく燃費も悪いため、圧縮機を備えたガスタービン型のジェットエンジンの登場と共に開発されることはなくなった。
第二次世界大戦時のドイツで、V1飛行爆弾(現在で言う巡航ミサイル)という自律巡航爆弾の推進装置として採用・実用された。使い捨てというミサイルの性質と、構造が簡単で安価に作れるというこのエンジンの性質が相まって重宝された。しかし、V1以外での実用例は皆無に近い。
ジェットエンジンの黎明期に存在した圧縮機を外部動力(通常はレシプロエンジン)で駆動する形式のエンジンで、タービンは持たない。モータージェットやサーモジェット(セコンド・カンピニによる命名)と呼ばれた。ガスタービンエンジンの実現が困難であった時期に考案・試作されたが、燃焼ガスにより得られる推力はごく小さく、レシプロエンジン駆動のプロペラ推進に及ぶものではなかったために計画や実験の段階で開発が放棄されたものが多い。
最初の機体は1910年にアンリ・コアンダが製作したコアンダ=1910であるが、これはまともな飛行を行うことなく事故で失われた。その後、革新技術としてジェットエンジンが希求されるようになってから現れたのがイタリアで1940年に初飛行したカプロニ・カンピーニ N.1である。第二次世界大戦中にも各国でモータージェット機がいくつか計画されているが、一応実機が完成したのは日本の桜花22型(ツ11搭載)と旧ソ連のMiG-13やSu-5くらいであった。
1950年代のアメリカにおいて、吸入した空気を原子炉の炉心で直接加熱し噴射するジェット推進装置を搭載した実験機X-6の開発が試みられた。しかし遮蔽試験機NB-36Hによる予備的試験のみで計画は終了した。
恒星間宇宙船の動力として古くから考えられているアイデアで、基本はラムジェットである。星間ガスを巨大なラムスクープで集め、推進剤とする。
^ ただし、それはどちらかといえば慣用的な区分けであって原理的には互いに共通する部分を持つ。例えば、モータージェット機カプロニ・カンピーニ N.1を製作したセコンド・カンピニ(Secondo Campini)はウォータージェット推進式のボート(ポンプの駆動はレシプロエンジン)を製作して航空用ジェットエンジンのデモンストレーションとした。また、戦前の日本の研究機関では現在で言うところのジェット推進のことをロケット推進と呼び、カプロニ・カンピーニ N.1はカンピーニロケットと言われることもあった。
^ アフターバーナーとはもともとゼネラル・エレクトリックでの呼称で、特許や商標としての競合を避けるためにロールス・ロイスではリヒート、プラット・アンド・ホイットニーではオーギュメンターという名称が使用されている。
ターボチャージャー - レシプロエンジンの吸気を圧縮するための補助機関だが、ガスタービンと同様の仕組・サイクルを持つ。

 

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